【為替】最強通貨スイスフランの急落、39%関税の舞台裏 | 大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

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スイスに課せられた厳しい高関税

これまで最強通貨といわれてきたスイスフランが8月1日、急落しました。トランプ米大統領がスイスに対する相互関税率を4月に予告していた31%から39%に引き上げたためです。スイスとともに欧州自由貿易連合(EFTA)を構成するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインに対する相互関税率が15%となる一方、スイスには厳しい関税率が課せられたことが、スイスフラン売りに繋がりました。

これまでのスイスフラン高の背景

これまでスイスフランが最強と呼ばれた背景には、物価上昇率(CPI)が0.2%程度と欧米主要国よりも低く、通貨の購買力と信用の高さにつながっていることがあります。また、2024年の財政収支はGDP比で約0.6%の黒字であり、近年黒字基調が続いていることもスイスが安全資産として選択されてきた理由と言えるでしょう。

米国から高い関税を課せられた背景にはスイスの対米貿易黒字の急増があります。スイスの対米貿易黒字は、2024~2025年のデータで約387億~400億スイスフラン程度。この黒字額は、世界各国の中で6位前後ですが、実は2024年時点では18位でした。2025年上半期に一気にランクアップしているのです。

対米貿易黒字急増の背景

なぜスイスの対米貿易黒字が急増したのか?最大の理由は、ゴールドの対米輸出が異例の水準に急拡大したことにあります。2025年第1四半期、スイスの米国向けゴールドの輸出額は360億ドル超に達し、対米黒字全体の3分の2以上を占める規模となりました。

これは、トランプ関税がゴールドを始め貴金属にも課せられる可能性を警戒したトレーダーらが、関税が課せられる前に米国にゴールドを輸入してしまおうという駆け込みの動きが膨らんだためです。2025年1月にはスイスから米国への金輸出量が史上最高水準の192.9トン(2024年12月の約3倍)となりました。トランプ米大統領就任および関税政策がこのような動きを加速させたのです。

トランプ政権は対米貿易黒字=米国の赤字拡大を問題視し39%もの高関税を課すとしていますが、その巨額の赤字の舞台裏にはトランプ政権の関税政策への警戒があったのです。実際には、現時点でゴールドなど貴金属への関税は課せられていません。

スイス政府は交渉継続の意向

スイス大統領は2025年8月初旬に訪米し、39%関税の引き下げ交渉を行ったものの、トランプ米大統領との会談は実現せず、引き下げには至っていません。スイス政府は交渉を継続する意向を示していますが、この高い関税率がスイス経済を減速させるという思惑から、これまで最強通貨であったスイスフラン高の修正が続くかもしれません。

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