モトリーフール米国本社 – 2025年8月2日 投稿記事より## 配当銘柄を探しているなら、人気薄の銘柄から始めるのも良いでしょう本稿執筆時点におけるS&P500指数の配当利回りは、わずか1.2%にとどまっています。配当収入が物足りないと感じる場合は、株価が52週安値付近にある人気の乏しい銘柄に投資することで、1.2%をはるかに上回る利回りを手に入れることが可能です。各業界トップクラスの銘柄の底値を拾うことで、見通しが良好な事業と最大6.4%にも達する高い配当利回りを享受できる可能性があります。## 1. メルクは配当株として堅調な実績を誇っているメルク[MRK]は15年連続で増配しています。これは見事な実績ですが、もちろんそれが全てではありません。実は増配に至る以前は、配当が停止されていた時期もありました。その当時には、競合するファイザー[PFE]でさえも、減配を余儀なくされていたのです。毎年の増配は理想的ですが、減配を回避する努力もまた、評価に値すると言えるでしょう。メルクの配当利回りは約3.8%と、市場全体やヘルスケア銘柄の平均である約1.8%と比べて魅力的な水準にあります。しかし現在、メルクは特許切れや新薬パイプラインの進展、規制環境の変化など、いくつかの課題を抱えています。その影響により、株価は52週の安値付近で推移しており、それに伴って配当利回りも上昇しています。とはいえ、業界の巨人であるメルクには自社事業への投資や、魅力的な製品を有する小規模な同業他社を買収するための資金力があり、さらに規制の変化を乗り越える手段があります。実際、過去にはこれらの全てを実現しており、注目すべき点はその間も減配しなかった点です。長期的な配当を重視する投資家にとって、いまは恐らく買いの好機と言えるでしょう。## 2. **ホーメル・フーズ**は困難な局面を乗り越えつつあるホーメル・フーズ[HRL](以下ホーメル)は、50年以上にわたり、毎年配当を増やし続けてきた「配当王」です。現在は事業が順調とは言えず、投資家の関心も薄れたことで、株価は52週安値付近まで下落しています。過去と比較しても状況は悪く、株価は過去3年、5年、10年のいずれにおいても、ほぼ底値圏にあります。一方で、本稿執筆時点の配当利回りは、歴史的に見ても高水準の約4%となっています。ホーメルはたんぱく質を中心とする加工食品メーカーであり、この状況をすぐに立て直せるような即効性のある解決策はありません。しかし、基本的にはホーメル財団が同社を支配していることから、十分な時間をかけて課題解決に取り組む余地があります。この慈善団体はホーメルの創業者によって設立されました。財団はホーメルが支払う配当金を利用して寄付活動を行っており、投資家と同じように、事業が安定した配当を生み出すことを望んでいます。ホーメルは、生活必需品分野におけるブランド企業です。革新的でマーケティングにも長けており、ブランド・ポートフォリオを再構築しつつ、コスト管理にも取り組んでいます。これらは望ましいことですが、成果が表れるまでには時間を要します。増配によって得られる魅力的な配当利回りを享受しながら待つことを厭わないのであれば、ホーメルは有力な選択肢となるかもしれません。## 3. ユナイテッド・パーセル・サービスは難しい選択を迫られている最後に挙げる銘柄は、執筆時点における配当利回りが6.4%と、今回取り上げた中で最も高い水準にあります。年間配当は過去16年間にわたり、毎年増加してきましたが、それにもかかわらず、投資家はユナイテッド・パーセル・サービス[UPS](以下UPS)の事業に対して明らかな懸念を抱いています。現在の配当利回りは過去の実績と比較しても非常に高くなっており、これは、株価が52週間高値から大幅に下落していることに起因しています。投資家が懸念を抱くのには、十分な理由があります。コロナ禍を経て宅配便の取扱量が減少し、利益率も低下したことで同社の業績は悪化しました。経営陣は迅速に事業の再構築を開始し、資産売却やコスト削減に取り組みました。その過程では、労働組合との高額な新労働契約にも対応しなければなりませんでした。そして、ようやく会社が持ち直しつつあるかに見えた矢先、経営陣は最大の顧客であるアマゾン・ドットコム[AMZN]との事業を自発的に縮小する方針を発表しました。しかし、ここで重要なのは大局的な視点を持つことです。まず、オンラインショッピングは依然として成長を持続しており、UPSの宅配便事業の需要も、時間の経過とともに拡大する可能性があります。次に、同社は短期的な痛みを受け入れつつ、最も利益率の高い事業に再び集中することができます(アマゾンとのビジネスは利益率が非常に低い)。第三に、事業のスリム化は短期的なコストが伴うものの、長期的には同社の業績回復に寄与することが期待されます。そのような投資スタンスを許容できる投資家にとって、UPSは魅力的で配当利回りの高い事業再生銘柄と位置づけることができるでしょう。## 底値拾いはリスクを伴うため、慎重に取り上げたユナイテッド・パーセル・サービス、ホーメル・フーズ、メルクはいずれも強固な配当実績がある各業界トップクラスの企業であり、長期的な事業の見通しも良好です。株価が52週安値の水準にある割安な銘柄を探しているのであれば、どの銘柄も興味深い選択肢となるでしょう。事業が低迷している高配当利回り銘柄を見付けるのは簡単ですが、底値を拾う際には注意が必要です。なぜなら、事業の見通しが同じように魅力的な企業は、なかなか見付からないからです。免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Reuben Gregg Brewer はホーメル・フーズの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドット・コム、メルク、ファイザー、ユナイテッド・パーセル・サービスの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。
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モトリーフール米国本社 – 2025年8月2日 投稿記事より
配当銘柄を探しているなら、人気薄の銘柄から始めるのも良いでしょう
本稿執筆時点におけるS&P500指数の配当利回りは、わずか1.2%にとどまっています。配当収入が物足りないと感じる場合は、株価が52週安値付近にある人気の乏しい銘柄に投資することで、1.2%をはるかに上回る利回りを手に入れることが可能です。各業界トップクラスの銘柄の底値を拾うことで、見通しが良好な事業と最大6.4%にも達する高い配当利回りを享受できる可能性があります。
1. メルクは配当株として堅調な実績を誇っている
メルク[MRK]は15年連続で増配しています。これは見事な実績ですが、もちろんそれが全てではありません。実は増配に至る以前は、配当が停止されていた時期もありました。その当時には、競合するファイザー[PFE]でさえも、減配を余儀なくされていたのです。毎年の増配は理想的ですが、減配を回避する努力もまた、評価に値すると言えるでしょう。
メルクの配当利回りは約3.8%と、市場全体やヘルスケア銘柄の平均である約1.8%と比べて魅力的な水準にあります。しかし現在、メルクは特許切れや新薬パイプラインの進展、規制環境の変化など、いくつかの課題を抱えています。その影響により、株価は52週の安値付近で推移しており、それに伴って配当利回りも上昇しています。
とはいえ、業界の巨人であるメルクには自社事業への投資や、魅力的な製品を有する小規模な同業他社を買収するための資金力があり、さらに規制の変化を乗り越える手段があります。実際、過去にはこれらの全てを実現しており、注目すべき点はその間も減配しなかった点です。長期的な配当を重視する投資家にとって、いまは恐らく買いの好機と言えるでしょう。
2. ホーメル・フーズは困難な局面を乗り越えつつある
ホーメル・フーズ[HRL](以下ホーメル)は、50年以上にわたり、毎年配当を増やし続けてきた「配当王」です。現在は事業が順調とは言えず、投資家の関心も薄れたことで、株価は52週安値付近まで下落しています。
過去と比較しても状況は悪く、株価は過去3年、5年、10年のいずれにおいても、ほぼ底値圏にあります。一方で、本稿執筆時点の配当利回りは、歴史的に見ても高水準の約4%となっています。
ホーメルはたんぱく質を中心とする加工食品メーカーであり、この状況をすぐに立て直せるような即効性のある解決策はありません。しかし、基本的にはホーメル財団が同社を支配していることから、十分な時間をかけて課題解決に取り組む余地があります。
この慈善団体はホーメルの創業者によって設立されました。財団はホーメルが支払う配当金を利用して寄付活動を行っており、投資家と同じように、事業が安定した配当を生み出すことを望んでいます。
ホーメルは、生活必需品分野におけるブランド企業です。革新的でマーケティングにも長けており、ブランド・ポートフォリオを再構築しつつ、コスト管理にも取り組んでいます。これらは望ましいことですが、成果が表れるまでには時間を要します。増配によって得られる魅力的な配当利回りを享受しながら待つことを厭わないのであれば、ホーメルは有力な選択肢となるかもしれません。
3. ユナイテッド・パーセル・サービスは難しい選択を迫られている
最後に挙げる銘柄は、執筆時点における配当利回りが6.4%と、今回取り上げた中で最も高い水準にあります。年間配当は過去16年間にわたり、毎年増加してきましたが、それにもかかわらず、投資家はユナイテッド・パーセル・サービス[UPS](以下UPS)の事業に対して明らかな懸念を抱いています。現在の配当利回りは過去の実績と比較しても非常に高くなっており、これは、株価が52週間高値から大幅に下落していることに起因しています。
投資家が懸念を抱くのには、十分な理由があります。コロナ禍を経て宅配便の取扱量が減少し、利益率も低下したことで同社の業績は悪化しました。経営陣は迅速に事業の再構築を開始し、資産売却やコスト削減に取り組みました。その過程では、労働組合との高額な新労働契約にも対応しなければなりませんでした。そして、ようやく会社が持ち直しつつあるかに見えた矢先、経営陣は最大の顧客であるアマゾン・ドットコム[AMZN]との事業を自発的に縮小する方針を発表しました。
しかし、ここで重要なのは大局的な視点を持つことです。まず、オンラインショッピングは依然として成長を持続しており、UPSの宅配便事業の需要も、時間の経過とともに拡大する可能性があります。次に、同社は短期的な痛みを受け入れつつ、最も利益率の高い事業に再び集中することができます(アマゾンとのビジネスは利益率が非常に低い)。第三に、事業のスリム化は短期的なコストが伴うものの、長期的には同社の業績回復に寄与することが期待されます。
そのような投資スタンスを許容できる投資家にとって、UPSは魅力的で配当利回りの高い事業再生銘柄と位置づけることができるでしょう。
底値拾いはリスクを伴うため、慎重に
取り上げたユナイテッド・パーセル・サービス、ホーメル・フーズ、メルクはいずれも強固な配当実績がある各業界トップクラスの企業であり、長期的な事業の見通しも良好です。株価が52週安値の水準にある割安な銘柄を探しているのであれば、どの銘柄も興味深い選択肢となるでしょう。
事業が低迷している高配当利回り銘柄を見付けるのは簡単ですが、底値を拾う際には注意が必要です。なぜなら、事業の見通しが同じように魅力的な企業は、なかなか見付からないからです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Reuben Gregg Brewer はホーメル・フーズの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドット・コム、メルク、ファイザー、ユナイテッド・パーセル・サービスの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。